保守的なセダンでもなく、高価なハイソカーやスポーツカーでもない、80年代の若者が免許を取ってまず乗った車…それは『ハッチバック』だった。小さなボディにスポーティーな走りのハッチバックは『ホットハッチ』とも呼ばれ当時の若者に絶大な人気を誇った。ホットハッチの誕生は単なるファッション性によるブームではなく、当時世界同時進行的に取り組まれていた『クルマの未来』への回答だった。
事の発端は、1973年に制定された国際的排気ガス規制の『マスキー法』に始まる。当時この法案は世界中の自動車産業に大打撃を与えた。特にアメリカ自動車産業ビッグ3は、それまでの売れ筋だった大排気量・ハイパフォーマンスのマッスルカーが全て葬り去られ、日本でもスカイラインGT-Rの血脈がこの法案により一度途絶える事になる。しかし、そこにチャンスを見出したのがドイツのフォルクスワーゲンと低公害なCVCCエンジンで世界的な評価を得ていたホンダだった。ホンダは早くから現在で言うところの『エコカー』の思想を持っており、ホンダ創設者本田宗一郎のMM思想(マンマキシマム・メカミニマム)に到ってはクルマの未来そのものであった。そのスタンスは今でも変わっておらず、現在はCO2排出量ゼロのクリーンエネルギー、次世代燃料電池車FCXを世界で初めて一般リース販売し、カリフォルニアでは太陽電池式水素ステーションを実験稼動させている。
1983年に登場したホンダ・バラードスポーツCR-Xの開発コンセプトは『1ガロンで50マイル走れる高能率なコミューター(マイルカー)』だった。コンパクトで軽量なボディに優れたエンジン、クラスナンバーワンの燃費、未来感覚と軽快さを併せ持った洗練されたスタイル。この存在に今なおときめきを感じる人間も多いのではないだろうか?1.5iサンルーフ仕様に搭載されるデジタルメーターとエレクトロニック・ナビゲータも80年代なSF感覚を感じさせ非常にクールである。
そして1983年の6月にCR-Xはワンダーシビックの派生車種としてシビックより3ヶ月速くデビュー。スポーティーでスペシャリティなイメージのCR-Xをまず先に送り出すことでその後に控える新型シビックへの期待感を煽るというイメージリーダーの役目が与えられた。シビック軍団とも言われる80年代ホンダのビッグプロジェクトの序章だった。
CR-Xにはまず水冷直列四気筒SOHCエンジン搭載の1.3と1.5iがラインナップされ後の1984年にDOHCエンジンを搭載し様々な部分で走りを徹底強化したSiが加わる。セミリトラクタブルライトの前期型はスペシャリティを感じさせデザインとしては素晴らしいがボディ剛性に難がありセミリトラクタブルライトも故障しやすく維持には手間とコストが掛かった。中古車市場でも部品取り車両として利用される事が多かった為に前期型は今では走っている姿を殆ど見ることのない貴重なクルマとなってしまった。
車重わずか800kg前後の考え抜かれたパッケージングに高性能エンジンとハンドリング。シティと共にホンダの80年代前半におけるイメージリーダーを任されたという斬新なスタイリング。見る者に純粋に『走らせたい!』と思わせるFFライトウェイトスポーツカー。ヘビーな車が多くなった今だからこそCR-Xの魅力は輝きを増す。
日本のクルマが最も熱かった80年代、その先陣を切るのはホンダ・バラードスポーツCR-X!貴重な実車を取材し、実車とミニシャーシのディメンジョンの差を感じさせない忠実なモデリングでその美しい形状を再現しました。セミリトラクタブルライトは別パーツによるリアルな再現と、レースでの耐久性を優先したデカールによる再現の二種類が選べます。
またABCホビーでは初となる裏張りデカールを電飾ライトパーツ用に用意しました。ヘッドライトのモールドが細かく再現された裏張りデカールをヘッドライトパーツの裏側に貼り付けることで、実車のヘッドライトそのもののリアルさを演出します。ヘッドライトのモールドの再現はボディメイクの上級者が自分で裏張りデカールを作成したり、筆で直接描く事で表現される高等テクニックですが、このキットでは上級者のテクニックを初心者でも手軽に再現できるようにしました。
<適合車種>
●ABC HOBBY… Genetic,Gambado ●ATLAS … E54-M1 BeaT ●TAMIYA … M-05
<Honda・バラードスポーツCR-X ボディデータ>
●全長/Length : 355mm ●全幅/Width : 162mm ●ホイルベース/WheelBase : 208mm
●付属品/With : ハイディフィニションデカール、マスキングフィルム、専用電飾ライトカバー
※写真のボディは広告用に塗装されています。実際の製品は未塗装のクリアボディとなります。
※本製品には走行用シャシー、タイヤ、ホイール、マフラー、ナンバープレート、電飾LEDライトが付属しません。
Honda Official Licensed Product